マンション管理の適正化 住宅購入後の維持管理は変わるか?

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2021年02月02日

マンション管理の適正化 住宅購入後の維持管理は変わるか?

2020年6月24日に公布された「マンション管理の適正化の推進に関する法律及びマンションの建替え等の円滑化に関する法律の一部を改正する法律」―――近年、過去のマンション建替え寿命の最も多い築年数である築40年超えのマンションが増加していることを背景に改正法として制定されました。

立地やブランド力、建物のデザイン、管理体制が常に最高水準が維持されている「ヴィンテージマンション」のような例外を除いて、通常のマンションをはじめとする不動産は築年数が経過するほどに老朽化により資産価値が低下していってしまうため、通常であれば老朽化させないために定期的に大規模修繕が行われます。
では、大規模修繕を行うためのお金はどこから出されているのかというと、マンション購入後の住宅維持費としてかかってくる「修繕積立金」ですが、果たしてその修繕積立金だけで何度の大規模修繕が可能なのでしょうか?

多くのマンションでは、大規模修繕が二度三度と続くと修繕積立金が不足してしまうと言われています。
修繕積立金が不足した時、一番に考えられるのが修繕積立金の値上げです。しかし、住民の賛成が必ず得られるとは限りません。
その場合は、管理組合の総会での議決を経て、分譲で購入した住民が一時金を出し合う、不足分を金融機関から借り入れるなどの方法をもって穴埋めすることになります。
ただ、いずれの手段も住民の負担増となってしまうため、なかなか方針が決まらずに大規模修繕が延期され、マンションの老朽化が進み、住宅としての品質低下へとつながっていきます。

そういった背景から昨年の改正では、マンション管理の適正化を図ることによって、老朽化に伴う問題の予防と解決をすることが目的となっています。
「マンション管理の適正化の推進に関する法律及びマンションの建替え等の円滑化に関する法律の一部を改正する法律」のポイントは3つです。

第一に、マンション管理の適正化の推進を図るために適切な修繕計画が立てられているか、計画に基づいて修繕積立日が積み立てられているか、管理組合の活動がしっかり行われているかと言った点について、国土交通大臣がこれを定め、各自治体(市区/町村は都道府県)はこの方針に基づき、マンション管理の適正化を推進する計画を策定すること。
 
第二に、管理計画認定制度の実施によって、適切な管理計画を有しているマンションとして認定すること。

第三に、管理適正化のための指導、助言、勧告などの実施で、各自治体は必要に応じて管理組合に対してマンション管理を適正に行うために指導、助言し、知事等が必要に応じて勧告を行うこと。

この中でも、管理計画認定制度の実施が特に注目されるポイントとなってきます。
管理計画認定制度は、管理組合が認定申請を総会で決議し、管理計画等の必要書類を各自治体へ提出、申請を経て、認定をもらうというものです。
管理計画には、修繕や管理の方法、修繕や管理に必要な資金計画、管理組合の運営状況などが記載されます。

ここで気になるのが、修繕や管理に必要な資金計画です。
前述しましたが、多くのマンションでは現状のままだと修繕積立金が不足し、いかに資金計画を立てるかが問題となってくるからです。

しかし、だからといって何も行わないと修繕積立金が積み立てられていないと見なされ指導・勧告の対象となってしまいます。
では、管理計画の認定においてどのような基準が設けられるのでしょうか?
資金計画に関する管理計画認定の基準は現状で、大きく分けて4つ挙げられます。

第一に、25年以上かつ大規模修繕工事が2回以上含まれる計画期間となる長期修繕計画が作成されていること。
 
第二に、長期修繕計画に基づいて修繕積立金が設定されていること。
 
第三に、長期修繕計画が五年以内に作成又は見直しがされていること。
 
第四に、修繕積立金の積立てについて「積立額が著しく低額でないこと」「将来の一時金の徴収を含まないこと」「将来の増額が予定されている場合、その増額についてあらかじめ合意されていること」の3つの内容を満たすものとなっていること。
これらを集約すると、せっかく購入したマンションに長く住むために計画的に積立て、定期的に計画を見直し将来困らないようにしましょう。といったところでしょうか。

この改正法が完全施行される2022年度、最終的にどのような基準に着地するのか気になるところですね。
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