
今から25年先の2050年には日本の住宅はどうなっているでしょうか。これまで新しく建ててきた戸建て住宅やマンションが積み重なり、日本全国に空き家が散在しています。人口減少と高齢化がさらに進み、職人も減少していくでしょう。自分の好みを反映した新築物件の建築は「ぜいたく品」となり、多くの人は中古住宅を購入してリフォームし、エネルギー性能などを改善して住むことが予想されます。
国立社会保障・人口問題研究所(社人研)によると、日本の人口は2070年には2020年比31%減の8700万人になる見通しです。2050年時点では、全国で75歳以上の単独世帯が704万世帯と、2020年の1.7倍に増えると想定されます。75歳以上の単独世帯は都道府県別では都市部ほど多くなっています。
人口が減ることでさらに空き家が増えます。野村総合研究所(NRI)の推計によると、2043年時点の空き家率は25.3%と2023年時点(13.8%)に比べて大きく上昇する見通しです。多くの人が利便性を求めてマンションで暮らす傾向が強まり、戸建ての空き家が目立つようになると予想されます。
建設業の働き手や職人の減少で、新築着工戸数も大きく減るでしょう。建築現場の人手不足などに詳しい芝浦工業大学の蟹沢宏剛教授によると、大工の人数は1980年代のピークに比べ、2050年にはその1割程度まで減る見通しです。大工は2020年に30万人を切り、2040年代半ばには10万人を下回るとの予測もあります。
人手不足を補うために、作業効率を高める工夫がされています。新築住宅の施工現場では工場で木材を加工する「プレカット」の導入が進むほか、建物の状態確認や施工にドローンを活用する取り組みも進んでいます。しかしそれでも、進む原材料費の上昇と空き家率の高まり、そこに人手不足が合わさることで新築住宅を建築するのはぜいたく品となるほどコストがかかると予想されます。50年後の日本では、中古住宅を購入して暮らしていくのが一般的になると考えられています。
空き家の増加などにより中古住宅が主流となるなか、それぞれの住宅の環境性能をいかに高めるかが求められています。鍵となるのが消費するエネルギーを減らし、太陽光発電などでエネルギーを作ることで、全体のエネルギー収支をゼロにする住宅「ZEH(ゼッチ)」です。「ZEH(ゼッチ)」とは、住宅の省エネ性能を向上し、さらに太陽光発電設備などで住宅からエネルギーを生み出すことで、エネルギーの収支をゼロ以上とする住宅のことを指します。環境省などは、補助金を支給するなどしてZEH(ゼッチ)の普及を支援しています。政府は2050年までに新築・中古を合わせた住宅ストック平均でZEH(ゼッチ)基準の省エネ性能を確保することを目標として掲げています。しかし、断熱性能一つをとっても、2022年度時点で住宅ストックのうち約24%は無断熱の住宅が占めており、達成のハードルは高いものとなっています。
ゼッチに準ずる基準として、エネルギー消費量を住宅本来のものより年間75%以上削減できる「ニアリーゼッチ」があります。雪が多く降る地域や都市部など太陽光パネルの設置が難しい場所向けに、年間20%以上削減できる「ゼッチオリエンテッド」と呼ばれる基準もあります。
壁や窓の断熱性能を高めたり、エネルギー効率の高い空調や照明などの設備を導入したりすることで、光熱費の削減につながり、また冬でも暖かく、夏でも涼しく快適に過ごせるので、居住者にとってもメリットが多数あります。
2025年4月からは、新築住宅に省エネ基準の適合が義務付けられ、ハウスメーカー各社も対策を急いでいます。とはいえ膨大な量の中古住宅の省エネ化は課題として残るでしょう。
【2025年1月5日 日本経済新聞より抜粋】
2050年には中古住宅を購入するのが一般的になると予想されます。ZEH(ゼッチ)は光熱費の削減や快適に過ごせる住まいなど、居住者にもメリットが多くあります。今後選択の中心となる中古住宅では、脱炭素社会の実現を見据え、環境性能を高めていくことが重要と考えられるでしょう。
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