太陽光パネル「2035年問題」迫る大量廃棄

03-3750-8441

【営業時間】10:00~17:00 【定休日】原則年中無休

最近の投稿

カテゴリ

アーカイブ

2024年08月26日

太陽光パネル「2035年問題」迫る大量廃棄

2035年前後に大量廃棄の時代がくる

太陽光パネルの大量廃棄時代が近づいています。東日本大震災後に急速に普及した太陽光パネルは、2035年前後に一斉に耐用年数を迎えます。政府はパネルのリサイクル義務化の検討を始めたものの、不法投棄を防ぎ、廃棄後も発電事業を続けてもらう対策は手探りの状態です。今回は再生可能エネルギーである太陽光発電が広まった経緯と、パネルの廃棄問題についてみていきます。

FITをきっかけに再エネが広まった

国内の太陽光発電が広まるきっかけとなったのは、政府が2012年に始めた固定価格買い取り制度=FITです。高価格の買い取りを確約した結果、企業や家庭の新設が急増しました。前年の東日本大震災を受けて再生可能エネルギーの普及を後押しする狙いでした。
太陽光の導入は2012〜2013年度だけで原発およそ8〜9基分に相当する880万キロワット(パネル重量およそ55万トン)に上りました。最近の年間導入量の2倍近い水準です。パネルの耐用年数は20〜30年とされるので、FIT開始から20年を過ぎる2030年代に次々と廃棄される見込みです。
普及が急ピッチだった分、廃棄量のピークも一気にやってきます。パネルの廃棄量について経済産業省は年間17万〜28万トン、環境省は年間50万〜80万トンと推計します。開きはあるものの年数十万トン単位で発生することは確実です。

埋め立てではなくリサイクルを

現在は埋め立て処分するのが主流となっていますが、産業廃棄物の最終処分場はもともと逼迫が見込まれ、すべて埋め立てるのは限界があります。環境への配慮だけでなく、経済安全保障の観点で重要なレアメタル(希少金属)を回収するためにもリサイクルの取り組みは欠かせません。政府はリサイクル義務化に向けて早ければ2025年の通常国会にも関連法案を提出する見込みです。
とはいえ、使用済みパネルからガラスやプラスチック、アルミニウムといった資源を分離するには高度な技術を要します。カドミウムや鉛、ヒ素、セレンといった有害物質を含み、その扱いも難題です。日本に輸入するパネルの8割ほどは中国製で、有害物質の情報開示が不十分なことも処理を難しくしています。

コスト・環境面で問題山積み

太陽光パネルのリサイクル義務化実現には複数のハードルが待ち構えています。最大の課題はコスト面です。リサイクル処理の費用は埋め立てに比べてコストが2倍かかります。義務化後は発電事業者がリサイクル費用を捻出することを想定しています。
資源エネルギー庁の2019年の調査では、パネル廃棄費用を積み立てている発電事業者は2割以下でした。2022年に事業者に廃棄費用の積み立てを義務づけたものの、埋め立てが禁止になれば必要な費用は膨らむでしょう。リサイクルを義務付けた結果、悪質な業者による不法投棄が増えるような事態になっては本末転倒です。
世界では欧州がリサイクル義務化で先行している一方、規制がない国も少なくありません。処理を円滑にするにはパネルサイズの規格を統一したり、有害物質に関するデータベースを整備したり、といった国際ルールの整備も欠かせません。
ほかに大量廃棄時代に備えた一時保管場所の確保や、パネルから取り出した廃ガラスのリサイクルに取り組む事業者の育成といった課題も解決する必要があります。

再エネ維持のための対策を

FITは当初の買い取り価格を1キロワット時あたり40円と海外のおよそ2倍に設定し、再生エネルギーの急拡大を支えました。設置が比較的容易な太陽光は日本の電源構成の約9%を占めるまでに伸び、再生エネルギーの伸びをけん引した功績があります。
その半面、環境に優しいはずの太陽光発電のために山を切り開いたり森林を伐採したりする負の側面も指摘されています。
現在では買い取り価格は大幅に下がり、リサイクル義務化のような規制強化でコストは上昇が見込まれます。事業継続には逆風で、現在のパネルの廃棄後、撤退する事業者が出る可能性はあるでしょう。2030年代に廃業が相次げば、せっかく普及した再生エネルギーの発電量に大きな穴があいてしまいます。
みずほリサーチ&テクノロジーズの河本桂一上席主任コンサルタントは「太陽光発電を長く続ける意向の事業者には何らかのインセンティブや配慮をしないといけない」と指摘します。パネル大量廃棄時代を大量「廃業」時代にしないよう、先手の取り組みを心がけることがFITの教訓となるでしょう。
【2024年7月7日日本経済新聞より抜粋】

まとめ

東京都は2025年4月から新築住宅に太陽光パネル設置を義務付けます。同時にリサイクル義務化を検討していますが、コスト・環境面で問題が山積みです。せっかく普及した再生エネルギーを維持していくためにも、不法投棄を防ぎ、廃棄後も発電事業を続けてもらう対策を考えていかなければなりません。
お困りの時には矢口渡で15年の実績があるイエステーション矢口店にご相談ください。お客様のお力になれるよう一生懸命努力致します。
必要な場合は、弁護士・司法書士・税理士の先生もご紹介しています。
※イエステーションは全国約190店舗の安心のネットワークです。グループ全体で年間契約数約7200件の仲介実績があります。

ページの先頭へ