東京都心のマンションの平均価格が1億円を超える日本の住宅価格ですが、国際比較すると実は「割安」といえる水準です。経済協力開発機構(OECD)によると、収入と比べた住宅価格において日本は平均を下回ります。新築志向が大きく影響し、中古市場が活性化せず、地方を含め空き家が増加しています。全国的に住宅供給が過剰となり、価格は国際的にみると割安となっている状況です。
新型コロナウイルス禍に対応した各国の中央銀行の金融緩和を機に、住宅市場は活気に満ち、盛り上がりをみせました。不動産経済研究所によると、2023年度の東京23区の新築マンション平均価格は1億円を超えます。国土交通省の不動産価格指数もマンションの直近の水準は10年比で約2倍と高水準です。
しかし、住宅の価格が割高か割安かを表す指標「住宅価格収入比率」で日本はOECD平均を下回ります。住宅価格収入比率は、住宅価格÷1人当たりの可処分所得で計算されます。コロナ禍後の住宅価格の上昇率もOECD平均より一貫して低く、2023年までの上昇率はいずれも平均を下回っています。
国際的に日本の住宅価格が低くなっている理由として、新築志向がいまだ根強いことが大きく影響していると考えられます。国交省によると、欧米の主要国では市場で流通する中古住宅の比率は80%前後ですが、日本は14%しかありません。このため中古住宅の流通が進まず、OECDによると、別荘を除く空き家率は日本が13.0%と米国(8.4%)や英国(5.4%)よりも高い結果となっています。一方、人口1000人当たりの新築住宅の着工数は日本が6.6戸と米国5.0戸、英国4.1戸を上回ります。必要な部品や資材を供給する業者への経済効果が大きい新築住宅への優遇を長く続けた結果といえます。
不動産コンサルタント、さくら事務所の長嶋修会長は「日本は建物の情報はブラックボックスだ。データを整え、ネットを通じて海外からも簡単に把握・取引できる仕組みが必要だ」と訴えます。耐震性などに問題がある中古住宅も需要が見込めるものは修繕を施し、情報を開示するだけで海外の評価は上がると予想します。
円安傾向で日本に流入した海外マネーは都心の物件に一極集中しています。海外マネーを都心への一極集中から地方に分散させる取り組みが必要です。その資金が中古や地方の住宅にも流入し、価格が国際標準に追いつけるように上昇すれば、それらの住宅を保有する個人の家計への恩恵も大きくなります。
都内の不動産仲介会社によると、東京都心のマンションなどはアジア諸国からの購入者が一段と目立つようになったといいます。大和総研の矢作大祐主任研究員は「海外資金の流入自体は悪いことではない。問題は資金が都心へ偏ることだ」と指摘します。
国立社会保障・人口問題研究所によると、日本の世帯数は2030年にピークを迎えます。住宅の需要が加速度的に減り始めるなか、海外資金は市場を支える柱といえます。近年、日本の地方部の魅力を情報発信する外国人観光客が増えています。一部の人からだけでも移住や別荘の需要が出てくれば、地方の住宅市場は一気に変わるかもしれません。
矢作氏は「米国ではニューヨーク以外にカリフォルニア州、テキサス州など多数のビジネスセンターが点在し、各地で住宅市場が活況だ」と一極集中の状況を改め、地方に注目すべきだと説きます。今すぐに地方に大規模なビジネス拠点を整えるのは難しいですが、「リモートワークの一段の拡大を進めるだけでも、人の流れは相当に変わる」と話します。
【2024年8月13日 日経新聞より抜粋】
東京都心のマンションや新築住宅の価格が高騰しているとニュースで話題になっていますが、国際比較すると実は「割安」といえる水準です。都心の物件に一極集中する海外マネーを中古や地方の住宅に分散させられる仕組みを整えることが重要といえます。
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