工業系地域にタワマン林立、インフラ逼迫に学校不足

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2024年08月18日

工業系地域にタワマン林立、インフラ逼迫に学校不足

工業系地域人口増加によりインフラ逼迫

工場が建つ「工業系地域」の人口が増え、学校不足や交通の逼迫が問題となっています。日本経済新聞の分析によると、東京23区、大阪市、名古屋市の人口の2割にあたる267万人が工業系地域に住んでいました。タワーマンションが工場跡地に増え続ける中、用途地域の規制などが壁になり、インフラ整備が遅れています。

用途地域とは

用途地域とは、都市計画法により市街地の大枠を指定し、用途を分けることで土地利用の効率化や環境保全を目的としています。建物の用途、高さ、建ぺい率、容積率などについて制限を定めています。東京都が決めている23区以外の地域では各自治体が定めており、住居系(8種類)、商業系(2種類)、工業系(3種類)の全13種類があり、横浜市と神戸市は住居系の面積が7割を超え、大阪市は商業系の面積が2割を占めるなど各都市の特徴が表れます。
「準工業地域」は環境悪化をもたらす恐れがない工場が建てられています。「工業地域」は工場に加えて住宅や店舗も建てられますが、学校、病院などは建てることができません。「工業専用地域」は工場のための地域で、住宅や店舗などは建てられません。

工業系での人口が急増

自治体が定めた用途地域に沿って街はつくられているのでしょうか。日経新聞の調査によると、工業系での人口が急激に増えていることがわかりました。東京23区は工業系の人口が180万人と全体の19%を占めました。2005年より17%増え、増加率は住居系の11%を上回りました。当調査は東京23区、大阪市、名古屋市の用途地域と、2020年と比較可能な2005年の国勢調査から算出した250メートル四方の人口を重ねて分析されたものです。
工業系の人口急増は、居住者が多いタワマンの増加が一因です。不動産情報サイトを運営するワンノブアカインドのデータを基に集計すると、23区の工業系地域にタワマンが約160棟と都区部全体の約3割を占めました。総戸数は約7万6000戸に上ります。
大阪市も工業系の人口は約53万人と全体の19%を占めました。住居系の人口が2005年比で2%減ったのに対し、工業系は7%増えました。名古屋市も約34万人で全体の15%を占め、増加率は4%と住居系の3%を上回りました。

準工業地域の小学校がパンク寸前

隣接エリアのうち小学校を原則建てられない「工業地域」にタワマンが相次ぎ完成し、学校が造れる「準工業地域」にある小学校に児童が流れ込む、という問題が起きています。2015年の開校時に比べ児童数は4倍の1100人超になり、34クラスに増えました。2021年に新校舎を設け、39クラスまで対応可能となりましたが、限界は近づいています。工業系が面積の6割を占める江東区は人口の増加が続いており、8校で教室の改修などを議論しています。

用途規制の緩さにより問題相次ぐ

工業系で住宅が増える背景には用途規制の緩さがあります。かつて未指定地域だった準工業地域は危険性の高い工場などを除き、何でも建設することができます。そこに都心部の定住人口の回復を進める政策やマンション建設技術の進歩が重なり、住宅と工場が混在するようになりました。住居系の地価が高騰するなか、準工業地域は比較的手ごろで消費者が購入しやすかったことも宅地化を後押ししました。
工業地域も学校や病院などを除けばほとんどの建物を造ることができます。近隣住民から騒音や振動への苦情が増え、廃業や郊外へ工場が移転した結果、開発余地が大きい土地が生まれたことでタワマンが続々と進出しました。結果として急速に人口が増加、学校や交通など生活にかかわるインフラ不足が起きたのです。

解決策は

この問題を解決するためには用途地域を工業系から住居系に変えるのが一案ですが、自治体の動きは鈍いままです。規制内容の変更で現在の工場などが「既存不適格」とされ、建て替えができなくなると、事業者らが反発する恐れがあるためです。
住民獲得を巡る自治体間の競争が激しくなり、開発しやすい工業系地域を残しておきたいという思惑も見えてきます。その結果、工業系なのに実質はタワマン街など、用途地域と実際の土地利用が一致しないエリアが目立つようになりました。
東洋大の大澤昭彦准教授は「行政は各地区の用途地域を適切に変えながら、都市の将来像を市民にわかりやすく示すべきだ。土地利用を転換する際には、インフラ整備とのバランスを取りながら開発を進める必要がある」と話します。都市の変化に合わせて規制を修正していく姿勢が求められています。
【2024年8月4日 日経新聞より抜粋】

まとめ

タワーマンションが工場跡地に増え続ける中、生活にかかわるインフラ逼迫や学校不足など、重大な問題が起こっています。都市の変化に合わせて規定を見直す必要がありますが、議論には時間がかかりそうです。
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