相続のルールが大きく変わる

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2024年07月17日

相続のルールが大きく変わる

はじめに

2024年から相続関係の法改正が相次ぎ、相続のルールが大きく変わりました。ルールの変更点を正しく理解し、相続を考える必要がありそうです。相続ルールの変更点や留意点を詳しくみていきましょう。

持ち戻しの期間延長

2024年1月には、亡くなる前に行われた贈与が相続財産に加算される「持ち戻し」の期間が3年から7年に延長されました。従来の贈与税が非課税となる年間110万円を活用した「暦年贈与」をしても、贈与後7年以内に亡くなると、その分の贈与は相続財産に加算され、せっかくの対策が水の泡となってしまいます。
ただし、持ち戻しの期間は今すぐに7年になるわけではありません。2024年1月以降の贈与が改正の対象となるため、結果として、持ち戻しの期間が実質7年まで伸びるのは2031年以降の相続発生分からとなります。また持ち戻される4〜7年分の贈与のうち100万円までを非課税とする措置も設けられています。

相続時精算課税制度

同じく1月には、「相続時精算課税制度」に年間110万円の基礎控除も新設されました。相続時精算課税制度では、贈与年の1月1日時点で60歳以上の親や祖父母が、18歳以上の子や孫に対して、期間や回数を問うことなく、合計2500万円まで非課税で贈与を行えます。
贈与者の相続が発生すると、非課税で贈与された分も相続財産に加算されます。しかし、基礎控除の新設で、相続発生時に持ち戻しの対象となるのは基礎控除を除いた金額の合計となります。
暦年課税贈与の持ち戻しとのダブル改正で注目度が高まっていますが、相続時精算課税制度と暦年贈与は併用ができません。利用に際しては税務署への届け出が必要で、かつ一旦届け出を行うと取り消しがきかない扱いづらさもあります。制度の利用や、利用するタイミングは慎重に検討したいところです。

マンション相続税評価額の見直し

1月からは、マンションの相続税評価額の計算方法も見直されました。マンションの評価額は建物(区分所有権)の評価額と土地(敷地利用権)の評価額を合計して算出しますが、住戸数の多いタワーマンションなどは1戸当たりの敷地利用権が小さく、近隣エリアの土地付き一戸建てや低層マンションより相続税評価額が低く抑えられていました。さらに、高層階ほど付加価値が付いて市場価格が高くなり、相続税評価額と市場価格との乖離が大きくなる傾向がありました。
新しいルールでは建物の築年数、総階数、住戸がある階、1室の敷地持ち分狭小度(実際の専有面積に対してどれくらいの敷地持ち分を有しているかを表す指標)から評価乖離率を算出します。乖離の大きい物件については補正計算をして評価額を市場価格の60%以上となるように調整します。
すでに保有しているマンションで1月以降に発生した相続にも新ルールが適用されるため、今後は保有するマンションの相続税の評価額が増えたり、税負担が想定以上に重くなったりする可能性があり、注意が必要です。

相続登記の義務化

4月からは「相続登記」が義務化されました。相続人は、相続の開始と相続により不動産の所有権を得たことを知った日から3年以内に当該不動産の名義変更を行わなければならなくなりました。遺産分割協議が難航して3年以内の登記が難しい場合は、当該不動産について自分が相続人であることを公示する「相続人申告登記」をしておけば問題ありません。とはいえ、相続人申告登記はあくまで期限内に相続登記ができない場合の緊急措置なので、遺産分割協議がまとまった後に改めて相続登記を行う必要があります。正当な理由がなく相続登記が行われない場合、相続人は10万円以下の過料を科されることがあります。
気を付けたいのは、4月より前に相続で取得した不動産も登記の義務化の対象となることです。税理士の福田浩彦さんは次のように話します。「固定資産税の請求が来るから大丈夫と思っていたら、登記簿上の名義は先代や先々代のままということもよくあります。所有・管理する不動産の名義変更が済んでいるか不安な人は、早めに登記情報を確認してください。」
【2024年7月4日 日経マネー特集より抜粋】

まとめ

2024年から相続のルールが大きく変更となりました。一部については過去に相続した不動産についても手続きが必要なものもあり、複雑な部分もあると思います。
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