住宅購入時に多くの人が契約する住宅ローン。従来は夫か妻1人での契約が一般的でしたが、夫婦2人で住宅ローンを契約する「ペアローン」の利用者が増えています。住宅価格が高騰する中、1人では手が届かない高額物件が買いやすくなるメリットがあります。
ペアローンとは、一軒の住宅を買う際に夫婦それぞれがローンを契約する方法です。お互いに相手の連帯保証人になるケースが一般的です。リクルートの調査によると、2023年の新築マンション契約でローンを利用した人のうち、ペアローンの利用率は首都圏が約34%、関西圏が約25%。いずれも2018年の調査開始後、最高水準となりました。
一方、今までは片方の死亡時に、残された方は自分のローンを払い続ける必要がありました。6月からは2人分の債務を免除する新商品が登場しています。どのようなケースでの活用が有効でしょうか。
万が一の際に保険金でローンを完済するため、ペアローン契約時には各自が団体信用生命保険(団信)に加入します。従来は、契約者の死亡時などに完済されるのは本人の債務のみで、配偶者の債務は残りました。6月に登場した新たな団信では、残された配偶者の債務も一緒に免除される仕組みです。PayPay銀行がカーディフ生命保険などと組んで提供を始めるほか、りそな銀行が日本生命保険と連携して扱う予定です。みずほ銀行も第一生命保険の新商品を7月から販売すると発表しています。
6月1日から契約可能となったPayPay銀行の商品は3つのタイプがあります。1つ目は、本人の死亡や高度障害状態などで、配偶者の債務も含めて免除するタイプです。65歳未満が加入でき、保険料としてローン金利に年0.2%を上乗せします。2つ目は、がんと診断された場合(がん特約)や、1年以上の入院で就業不能が続いた場合も2人分の債務を免除するタイプです。51歳未満が加入可能で、金利の上乗せは年0.4%です。3つ目は、がん特約などを付け、免除される配偶者の債務を50%にするタイプで、年0.3%の金利上乗せになります。
新たな団信を付けると月々の負担はいくら増えるでしょうか。ファイナンシャルプランナーの竹下さくら氏の試算を基に、夫婦2人で合計6000万円を期間35年、年0.4%の変動金利(元利均等返済)で借りる例をみてみます。
一般の団信に上乗せ金利はなく、毎月返済額は合計約15.3万円です。2人分の債務を免除する団信を付けると、0.2%の金利を払い、毎月返済額は約5300円増えます。がん特約を付けて0.4%を上乗せすると、毎月約1万700円の増加です。利息総額はそれぞれ約222万円と450万円増えます。
ファイナンシャルプランナーの平井美穂氏は「一般の保険商品とも比べて判断すべきだ」と話します。例えば死亡や高度障害時に、配偶者が毎月一定額を受け取る収入保障保険に夫婦それぞれ加入します。片方の死亡時などは通常の団信で本人の残債がなくなり、収入保障保険の保険金を残された配偶者の債務返済に充てます。収入保障保険は住宅ローンの債務と同様、時間と共に受け取る保険金総額が減ります。新たな団信に加入しなくても、万が一の際に2人分の債務を完済できる目途が立ちます。
新たな団信か、一般の生命保険での対応か、どちらの保険料が安いかは年齢などの条件により変わります。例えばSOMPOひまわり生命保険の収入保障保険で、配偶者の死亡や高度障害時に35年間、月10万円を受け取る契約をすると、非喫煙者で健康状態の基準を満たす30歳男性なら月2400円程度、女性なら2000円程度で加入可能です。平井氏は「勤務先の死亡退職金や遺族年金などの公的保障も含め、新たな団信が必要か考えたい」と話します。
40代以上なら、新たな団信が有力になる傾向です。一般の生命保険では通常、年齢が上がると保険料が高くなります。一方、団信の上乗せ金利は一定の年齢までは差がありません。高齢になればがん罹患リスクも高まるため、がん特約も一案になります。ただ上乗せ幅が年0.4%になると、ローン金利より高いこともあるのです。竹下氏は「がん50%特約など、費用対効果を見極めて選ぶ必要がある」と話しています。
【2024年6月1日 日本経済新聞より抜粋】
住宅価格の高騰が続いています。住宅ローンを借りた場合の月々の返済額を考えると、夫婦で借りるペアローンなら高額物件にも手が届きそうです。新たな団信か、一般の生命保険か。費用対効果を見極めた上での選択が必要となります。
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