政府は使用済みの太陽光パネルのリサイクルの義務化を検討しています。2030年代には耐用年数を迎える太陽光パネルが大量発生することが想定されています。埋め立て処分を減らして環境への負荷を抑えることを目的をし、2025年の通常国会にも関連法案を提出する予定です。
太陽光発電の導入は固定価格買い取り制度(FIT)が始まった2012年以降に急拡大しました。耐用年数は20~30年といわれているため、2030年代半ば以降には大量廃棄のピークが訪れるのです。
環境省は処理が必要になる太陽光パネルは年間50万〜80万トンに上ると予想します。リサイクル義務がある冷蔵庫(およそ22万トン)の2倍以上になる可能性があります。
太陽光パネルは重量のうち6割ほどをガラスが占めます。シリコン、アルミニウム、プラスチックなども使われています。現状はリサイクルの義務がないため、所有者が廃棄物処理法に沿って専門業者に処理を委託しています。アルミなど一部の部材を除き、大半はリサイクルされないまま埋め立てて処分されているのです。
既存のリサイクルに関する法律は自動車や家電、小型家電を対象としていますが、太陽光パネルについても同様の仕組みが考えられるでしょう。車は所有者がリサイクル料金を支払い、自動車メーカーはフロンやエアバッグなどを引き取ってリサイクルします。エアコンやテレビといった家電は所有者が廃棄する際に費用を支払います。これらの法律は所有者や製造業者にリサイクル費用の負担や再資源化といった役割分担を求めています。
環境省は、リサイクルされるパネル量が大幅に増えることで、処理施設が不足する事態を懸念しています。政府は受け皿となるリサイクル施設を増やす方策をあわせて検討しています。
資源エネルギー庁の2019年の調査で、太陽光パネルの廃棄費用を積み立てている発電事業者が2割以下にとどまることが分かりました。同庁は2022年に事業者に廃棄費用の積み立てを義務づけました。リサイクルの義務化で費用はさらに膨らむとみられ、資金力不足などから、かえって不法投棄の拡大につながりかねないとの懸念もあります。
また太陽光パネルから取り出したリサイクル素材の用途を拡大する必要もあります。太陽光パネルのガラスは不純物が多く、現在の主な用途は建材用の断熱材などに限られているのです。経済産業省はリサイクル技術や低コスト化に関する研究も進めています。
FIT制度の導入後、安価な中国製パネルが主流となりました。原材料を非開示とする中国メーカーも多いようです。リサイクルの義務化にあたり、中国をはじめとする外国メーカーをリサイクル制度に組み込んでいくことが不可欠となるでしょう。
FIT制度の下、安定した利回りが計算できる投資先として個人投資家や中小企業が参入したことも禍根を残しています。各地で森林伐採や土砂災害をもたらす乱開発が相次ぎました。
AGCとトクヤマは3月、太陽光パネルのガラスを原料として一般的な板ガラスの「フロート板ガラス」を製造する実証実験に成功したと発表しました。国内に太陽光パネルのメーカーはほとんど残っておらず、こうした取り組みはますます重要となってきます。
資源循環を促せば新製品の製造コストや二酸化炭素(CO2)排出の削減につながります。国連環境計画(UNEP)によると、天然資源の採取と加工が温暖化ガス排出量の55%以上を占めるといいます。日本の再生可能エネルギーの発電量(水力除く)のうち太陽光の比率は65%に達し、3割前後のEU、米国、中国を大きく上回ります。国土面積あたりの太陽光の設備容量は主要国の中で最大です。欧米などの一部の国にはすでに関連規制があります。欧州連合(EU)は2012年に電子機器などの廃棄物発生量を抑制するため太陽光パネルのリサイクルを義務づけました。加盟国ごとに国内法を整備しています。ライフサイクル全体で環境負荷を減らす制度設計が欠かせません。
【2024年6月11日日本経済新聞より抜粋】
太陽光パネルのリサイクル法が今後整備されていくことでしょう。リサイクル義務化の議論と並行して、太陽光パネルの設置義務化の改正条例が2025年4月にいよいよ施行されます。補助金が受けらますが、申請方法等難しいところもあるかと思います。
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