2020年秋以降、半導体不足が続いています。
新型コロナウイルスの影響でテレワークが世界中で広がりパソコンなどに使う電源管理用の半導体がまず足りなくなりました。
さらに世界最大の中国の自動車市場の回復を受け半導体不足で車の生産が制限される事態になっています。
車に使われる半導体では「走る、止まる、曲がる」といった動きを制御するマイコンなどが不足しているといいます。
半導体の生産に時間がかかることも不足の要因となっています。
車メーカーは車需要が落ち込むとみて20年春に半導体の発注を大きく絞りましたが、回復は想定以上のペースでした。
半導体は通常、材料を投入してから製品が出来上がるまで3カ月以上の時間がかかるため、車の需要回復に合わせて発注を増やしても間に合いません。
またアメリカ政府による中国企業への制裁もあって、半導体の調達先が限られたことも不足に拍車をかけています。
半導体不足の影響が住宅向けの太陽光発電システムにも及び始めました。
パナソニックは近く一部の基幹装置の生産を停止します。
住宅に発電システムを取り付ける施工会社などは代替品の調達を急いでおり、半導体不足が長期化すれば、太陽光発電の普及の足かせにもなりかねません。
生産を停止するのはパワーコンディショナー(電力変換装置)と呼ばれる装置で、太陽光パネルでつくった直流の電気を交流に変換するために使います。
パナソニックは6月下旬、パワコンの一部製品で供給に遅れが出るとの文書を取引先に出しました。
半導体大手のルネサスエレクトロニクスの工場火災の影響でパワコン向け半導体の調達が滞り、7月中にも生産が止まる製品が出るもようです。
2022年1月までに正常化するとしていますが、最大で生産が2~3割程度落ちこむとみられます。
コンサルティング会社の資源総合システム(東京・中央)によると、国内では20年に約680万キロワット分の変換能力に相当するパワコンが販売されました。
大規模な太陽光発電施設に強い中国の華為技術(ファーウェイ)が2割のシェアを持つ最大手です。
住宅用は変換能力ベースで全体の3割前後とみられるが、住宅に取り付けるため台数が多い。パナソニックが約3割のシェアを持つ最大手で、オムロンや田淵電機などが続きます。
田淵電機も一部でルネサス製の半導体を使用しているとみられ、同社は「置き換えは難しい」と話します。
在庫品を使って生産を続けているが、他にも在庫量の少ない電子部品があり、取引先には供給に遅れが出る可能性も示しているといいます。
オムロンは具体的な影響を明らかにしていないが「世界的な半導体不足の影響は受けている」(同社)としています。
ルネサスは6月24日、半導体の生産が火災前の水準に回復しました。
ただ、出荷量は火災前に戻っておらず、供給も自動車向けなどが優先されているとみられます。
太陽光発電メーカーや住宅会社は代替品の確保に動いています。
代替品を使う場合は耐久性の試験や認証に時間がかかります。
「仕入れコストも各社の取り合いで上がっている」(施工会社幹部)。
台湾のパワコン大手、デルタ電子は「代替調達と思われる引き合いが日本メーカーから来ている」と明かします。
半導体不足の影響は様々な最終製品に及んでいます。
自動車に加えて、カーナビやエアコン、テレビなど幅広い消費者向け製品の生産が滞ります。
影響は消費者が購入する店頭に波及しており、新型コロナウイルス下での消費に影を落としています。
以前の記事にもある「ウッドショック」もそうですが、「半導体ショック」も広範囲で多様な局面で大きな影響が発生しています。
売りたくても売れない。。販売を止めている販売店も出始めています。
今後、リスクヘッジで部品を変更したり、仕入先を変えたり、使わなくてもいいように技術開発してくると競争優位性が減ってくると思います。