日本はここ数年毎年のように大きな自然災害に悩まされています。
現在、静岡県熱海市で発生した土石流で死者やけが人が出ているのを毎日のようにニュースで見て、心が締め付けられる思いです。
ですが、問題となっているのは人災だけではないことが判明しました。
静岡県熱海市伊豆山地区での大規模土石流を巡り、静岡県の難波喬司副知事は7日午後の記者会見で、起点周辺にあった盛り土を搬入した神奈川県小田原市の不動産会社(清算)が行政への届け出を超える量を置いていた可能性があると明らかにしました。
盛り土に産業廃棄物が混入していたことも判明したのです。
県などは開発や造成経緯の解明を急ぐといいます。
県が公表した経緯によると、同社が2007年、県土採取等規制条例に基づき、市に提出した届け出では盛り土の総量は約3.6万立方メートル、高さ15メートルでした。
しかし、土石流発生後の分析では、約1.5倍の約5.4万立方メートルの盛り土があり、このうち少なくとも5万立方メートルが崩落したと推定します。
高さも約50メートルあった可能性があるといいます。
難波副知事は「(届け出を)超えた量が入れられた可能性がある」との認識を示しました。
盛り土を巡り、10年ごろから産廃が混入されていたことも公表しました。
県や市は同社に対し再三指導をしており、難波副知事は「適正な行為でなかったことは間違いない。いろいろな面で手続き違反があった」としました。
一方、県の指導を受け、森林法上の伐採は届け出ていました。
複数回、同社の手続きなどが是正されなかったことに対する行政責任に関しては「ますは経緯を明らかにしないと誰に責任があったかとはいえない」と述べるに留まりました。
土石流が発生した場所に南側で隣接する大規模太陽光発電所(メガソーラー)を巡っても、工事を始める際に許可なく森林を伐採するなど手続きが適切でなかったことを明らかにしました。
難波副知事は「(土石流には)あまり影響はないと思う」と説明しました。
この土石流は起点周辺の「盛り土」が被害を甚大にしたとされ、山中に運ばれた土砂災害リスクを浮き彫りにしました。
現場のように使用目的が不明な盛り土は規制の網がかかりにくく、監視の目が行き届いていないようです。
土石流の起点となったかどうかははっきりしませんが、被害を大きくしたであろう盛り土。
盛り土を巡る規制は目的や規模によって分かれます。
宅地開発のためも盛り土には宅地造成等規制法が適用されます。
事業者は都道府県などへの申請が必要なほか、工法なども詳細に規定され、土砂崩れの防ぐ措置も必要となります。
産廃の埋没については、許可された処分場以外の埋没を廃棄物処理法が禁止。
処分場は崩落対策もなされるが、現場は同法に基づく目的で造成する場合の規制は各自治体が条例に基づいて進めるといいます。
盛り土に使われることが多い建設残土は再利用が可能なことから「私有財産」とみなされ、法律だけでなく条例の規制すらかからないケースも少なくないといいます。
盛り土は国土交通省が把握する大規模造成地だけでも全国に約5万1千箇所あります。
規制の網から漏れている小規模な盛り土は各地に点在してるとみられます。
国は全国の盛り土の総点検をする方針を示していますが、実施する上で課題となるのが点検の実効性です。
どうやら今回の土石流の発生について盛り土部分の強度や崩落対策に加えて、行政のチェックが機能していたか検証が必要であると考えます。
そのうえで、速やかにリスクを住民に速やかに周知しなければいけないと考えます。
まずは所在不明者の早期発見と1日も早い日常生活を取り戻せることを切に願います。