各地に傷跡を残した台風15号はまだ記憶に新しいと思います。
今後も複数の台風が襲来する可能性が示唆されています。
今住んでいる地域やこれから住もうと考えている地域について、洪水のハザードマップなど各種の防災サイトを改めて確認してみてはいかがでしょうか。
洪水などの災害リスクを事前に知った上でその地域に暮らすのとそうでないのとでは、命や財産を守る点で結果が大きく違ってきます。
ハザードマップとは、自然災害が発生した場合の被害を予測して、被災想定地域や被害の範囲、避難場所や避難経路などを地図上に表示したものです。
自然災害による被害を軽減したり、防災対策に活用したりするために、各地域で、災害ごとに作成されています。
ハザードマップには、以下のような情報が表示されます。
住んでいる地域のハザードマップを確認することで、自宅周辺で発生しうる災害の種類や程度、近くの避難場所やそこへの経路などを視覚情報として得ることができます。
そのため、防災に対する意識が高まりやすく、具体的に災害への備えに取り組みやすくなります。
また、持ち出し用防災セットに入れておけば、被災したときに迅速かつ適切に避難行動をとるためのツールとしても役立ちます。
ハザードマップは、災害への備えや避難行動など、防災に関する様々な場面で活用することができます。
ハザードマップは、ある地域で発生しうる災害ごとに作成されており、地図上に表示される内容もそれぞれ異なります。
主なハザードマップの種類と表示内容は、以下のとおりです。
土砂災害ハザードマップとは、土砂災害による被害が想定される地域や避難情報が表示されているハザードマップです。
被害予測地点、土砂災害の種類、予測される被害拡大範囲と程度、避難経路と避難場所などが表示されています。
2005年に土砂災害防止法が改正された後は、土砂災害の警戒区域や特別警戒区域を表示したハザードマップを作成し、地域住民に配布することが、各市区町村に義務付けられています。
火山防災ハザードマップとは、噴火や火山活動が活性化した場合に、噴石、火砕流、溶岩流、泥流、火山灰による被害を受けるおそれがある地域を表示したハザードマップです。
2015年に施行された改正活火山法では、全国49火山周辺の23都道県と140市町村が火山災害警戒地域に指定されており、指定された自治体は、火山防災協議会の立ち上げと火山ハザードマップの作成が義務付けられています。
津波ハザードマップとは、津波が陸上へ押し寄せた場合の津波の高さ、第1波到達までの時間、浸水域、避難場所と避難経路などを表示したハザードマップです。
2012年施行の津波防災地域づくり法により、都道府県が津波被害が想定される地域を「津波災害警戒区域」に指定し、区域内の市区町村は、津波ハザードマップの作成と公表が義務付けられました。
高潮ハザードマップとは、高潮によって生じる被害を受けるおそれのある地域や被害の程度を表示したハザードマップです。
国土交通省は、2004年に高潮対策や避難計画に関するマニュアルを作成し、全国の自治体に高潮ハザードマップの作成を促しています。
そして、国土交通省のハザードマップポータルサイトをチェックしましょう。
更に「わがまちハザードマップ」わがまちハザードマップ (gsi.go.jp)で住んでいる地域の洪水や土砂災害のリスクなどをチェックします。
その上で「重ねるハザードマップ」で様々な追加情報を入手すればよいのです。
両方のハザードマップをチェックするのは、一方には載っていない情報がもう一方には載っていることがあるからです。
例えば、重ねるハザードマップには世田谷区や渋谷区といった台地上にある地域についての浸水予想データは掲載されていません。
これは「内水ハザードマップ」と呼ばれるもので、わがまちハザードマップから各地方公共団体が発表している内水ハザードマップを探し出さないと見ることができないのです。こうした高台や台地にも小さな川が無数にあり、排水能力を超える降雨時には浸水するリスクがあるのです。
災害に備えるには、住んでいる地域でどのような災害が起こりやすく、どのような被害を受ける可能性があるのかを把握することが大切です。
ハザードマップを確認すれば、住んでいる地域の危険度を視覚的に把握することができるので、災害に備える意識を高めたり、具体的な災害対策を立てたりしやすくなります。
各地域で災害ごとに作成されているので、住んでいる地域のハザードマップは一通り確認しておくことをおすすめします。
知っておいていただきたいのは、『自然災害は自分の身にも起こりうる』ということです。
それも、普段はさまざまなインフラに守られているけれども、想定以上のことが起こる可能性があることを知ってほしいと思います。
日本の河川には当たり前に堤防があって、ダムがあって普段は洪水を防いでいてくれます。建物も強くそう簡単には倒壊しないし、海岸でも少しの高波で海から波が陸地まで来ることはありません。
しかし、私たちを守ってくれるインフラは、一定の基準をもってつくられています。
つまり、その基準を超える災害が起きたとき、インフラによる守りは崩されてしまうのです。
自分の生活がすべて完璧に守られているわけではないことを理解したうえで、災害への準備をしていきましょう。
そうして普段から災害が起こることを想定し、準備しておくことで、被害を最小限におさえることができるようになるはずです。