不動産を売却したときに発生する税金

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2023年08月16日

不動産を売却したときに発生する税金

不動産を売却したときに利益が生じると、その分の税金が発生します。しかし場合によっては税金がかからない特例もあります。どのような税金と特例があるのでしょうか。

譲渡所得とは

個人に関する所得は、給与所得、譲渡所得、不動産所得、事業所得、山林所得、退職所得、利子所得、配当所得、一時所得、雑所得の10種類に分類されます。
個人が不動産を売却したときの所得は、「譲渡所得」になります。個人が土地やマイホーム、アパート、ワンルームマンション、オフィスビル、空き家等の不動産を売却したときに発生する所得は、全て譲渡所得です。
譲渡所得は、単純な不動産の売却額のことではありません。具体的には、以下の計算式で表されます。
譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用
上記のように計算した結果、譲渡所得がプラスであれば税金(所得税・住民税・復興特別所得税)が発生します。一方で、譲渡所得がマイナスであれば不動産を売却しても税金は発生しません。
例えば、築20年以上経過しているマイホームなどは、購入当時よりも大きく値段が下がってしまっているケースがよくあります。このようなときは、譲渡所得がマイナスとなることが多く、税金はかからないことになります。

不動産の譲渡所得にかかる税率

譲渡所得がプラスである場合、税金が発生します。
所得税と住民税は、原則として所得が多いほど税率が上がるという累進課税制度を採用しています。しかし、不動産を売却して多額の譲渡所得が発生した場合、急にその年だけ税率が上がってしまうようであれば、不動産は売りにくくなってしまいます。
そのため、不動産を売却した場合の譲渡所得に関しては、例外的に給与所得等の他の所得とは無関係に税率が定められています。このように他の所得と分離して課税する方式を分離課税方式と呼んでいます。
不動産の所有期間によって「税率」は変動します。分離課税方式となっている譲渡所得では、税率は所有期間で決められています。所有期間が5年超の場合は長期譲渡所得、所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得と呼ばれます。
基本的な考え方として、所有期間が短いほど税率を上げ、課税負担を重くしています。その理由とは、バブル時代に流行った「土地転がし」のような投機的取引を防止するためです。
投機的取引が横行してしまうと、投資家が不必要に売買を繰り返すことで土地の値段が高騰してしまいます。そうなると、土地を本当に必要とする方が高過ぎて購入できなくなってしまいます。国の考えとしては、できるだけ不動産を長く持っている方に対しては、税率を下げることで、投機的取引を防止する措置を取っています。
譲渡所得の税率は、累進課税ではなく、所有期間によって決まるということがポイントになります。

不動産売却にかかるその他の税金

不動産の売却を行う際に、以下のようにいくつかの税金が発生します。そこまで高額ではありませんが、売却にかかる諸費用として把握しておくとよいでしょう。

登録免許税

登録免許税とは、登記簿謄本に自分の権利を設定したり、抹消したりするときに課税される税金です。登記は法務局で行いますが、法務局の方たちが登記を変更するために必要な手間賃みたいなものを登録免許税という形で支払います。納税は、司法書士が法務局に代理で納付することが多くあります。
不動産を売却するときに発生する登録免許税としては、以下のものがあります。
(1) 住宅ローンの抵当権が残っている場合
抵当権を抹消するための登録免許税
不動産1個に対して1,000円の登録免許税かかります。土地と建物の両方に抵当権が設定されている場合には、2,000円となります。
すでにローンの返済が完了し、抵当権の抹消が済んでいる場合は不要です。
(2) 所有権の移転登記に伴う登録免許税を売主が負担、もしくは買主と折半する場合
所有権の移転登記に伴う登録免許税
商習慣として買主が全額負担することが一般的のため、ほとんどの場合で不要です。
法的な決まりではないため、特約等により売主が登録免許税を負担することも可能です。
(2)が発生するケース、売却しにくいような不動産を売却する場合に、売主が登録免許税を負担して売りやすくするという方法もあります。

印紙税

印紙税とは、売買契約書に収入印紙を貼付し、消印をすることで納税するという税金です。売買契約書のように、売主と買主が取引に合意しているような書面は、印紙税の課税文書と言われ、印紙を貼ることになります。売買契約書に貼付したタイミングで納税となります。
印紙は、課税文書それぞれに貼ります。通常、売買契約書は、原本を2通作成し、売主と買主でそれぞれ保管します。そのため、2つの契約書にお互いに印紙を貼り、相互に保管することになります。
印紙税の金額は、売買契約書に記載されている金額によって異なります。

消費税

不動産の売却では、仲介や測量等のサービス提供を受けた場合、その支払う報酬に対して消費税が発生します。売却に必要な最も典型的な費用に不動産会社へ支払う仲介手数料がありますが、仲介手数料には消費税が発生します。
尚、個人が不動産を売却した場合、課税事業者ではないため、建物の消費税は発生しません。
一方で、不動産会社が売る場合は、建物に対して消費税が発生します。
自分がマンションディベロッパーから購入したとき、消費税を支払った経験のある方は、自分が不動産を売る場合は消費税を受け取るのではないかと心配されるかもしれません。
しかし、個人は消費税を納める課税事業者ではないため、不動産を売却しても消費税はかかりません。消費税も、手付金の印紙税と同様に、売主が誰かによって発生したり、発生しなかったりします。

マイホーム売却で利用できる税金控除・特例

個人が不動産を売却した場合、以下の要件を満たすマイホーム(居住用財産)を売却したときに限り、発生する税金に関して特例が設けられています。

不動産売却で譲渡益が出た場合

不動産売却で譲渡益が出た場合とは、以下のように、譲渡所得がプラスになり、所得税等が発生するケースのことを指します。
譲渡益が発生する場合
譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 > ゼロ

3,000万円の特別控除

3,000万円の特別控除とは、譲渡所得を求めるにあたり、居住用財産に限っては3,000万円を控除できるという特例です。
3,000万円の特別控除を適用した場合の譲渡所得とは、以下のような計算式にあります。
譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 3,000万円
例えば、譲渡価額が5,000万円、取得費が1,000万円、譲渡費用が150万円の場合、3,000万円の特別控除を適用すると、譲渡所得は以下のようになります。
譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 3,000万円
 = 5,000万円 - 1,000万円 - 150万円 - 3,000万円
 = 850万円
本来、特例を適用しないと譲渡所得としては3,850円でしたが、3,000万円の特別控除を適用することで、譲渡所得が850万円になりました。
さらに、譲渡価額が3,000万円、取得費が1,000万円、譲渡費用が150万円の場合を計算してみます。
譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 - 3,000万円
 = 3,000万円 - 1,000万円 - 150万円 - 3,000万円
 = 0円
3,000万円の特別控除を適用した結果、譲渡所得がマイナスになるような場合、譲渡所得はゼロとされます。つまり、3,000万円の特別控除の適用により、所得税等は発生しないことになります。
尚、この特例は短期譲渡所得であっても、長期譲渡所得であっても適用することができるという点がポイントです。
実際、譲渡所得がプラスであっても、3,000万円の特別控除を適用した時点で、譲渡所得がゼロとなるケースはかなり多いはずです。実際に、多くの方がこの特例を活用しています。

所有期間10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例

「譲渡所得の減額」ではなく「税率の軽減」が生じるお得な特例です。10年を超える期間、保有していたマイホームを売却した場合、「不動産の譲渡所得にかかる税率」で解説した長期譲渡所得の税率よりも、さらに下げることができます。
一つ前にご紹介した「3,000万円の特別控除」と併用できるため、まず3,000万円の特別控除によって譲渡所得を減額し、この特例によってさらに税率を軽減することが可能です。
3,000万円の特別控除を適用した後の譲渡所得は、よほどのことがない限り、6,000万円以下になるでしょう。そのため、3,000万円の特別控除を適用しても譲渡所得がプラスの方は、所有期間が10年超であれば、税率も下がるという特例となります。

特定の居住用財産の買換え特例

特定の居住用財産の買換え特例は、買い替えを前提としています。
買換えとは、今のマイホームを売却し、新しいマイホームを購入することです。特定の居住用財産の買換え特例は、極めて単純です。
買換えで、今の家を売却した金額(譲渡価額)よりも、新しく購入した家の方が金額(取得価額)の方が高い場合、課税されないという特例になります。
但し、特例の適用に当たっては、売却する居住用財産と、購入する居住用財産には以下のような要件が必要となります。
 
 売却する居住用財産の要件
1.現に自分が住んでいる住宅で、居住期間が10年以上であるもの
2.以前に自分が住んでいた1の住宅で、自分が住まなくなった日から3年後の12月31日までに譲渡されるもの
3.1や2の住宅及びその敷地
4.災害によって1の住宅が滅失した場合において、その住宅を引き続き所有していたとしたならば、その年の1月1日におけ所有期間が10年を超えるその住宅の敷地
5.譲渡にかかる対価が1億円以下のもの

購入する居住用財産の要件
1.譲渡資産を譲渡した年の前年の1月1日から譲渡した年の12月31日までの間に居住用の住宅やその敷地を取得すること
2.譲渡資産を譲渡した年の翌年12月31日までの間に、取得した住宅を居住の用に供すること、または供する見込みであること
3.取得する住宅は、床面積が50m2以上であること
4.買換え資産が中古の耐火建築物である場合には、その中古耐火建築物が新築後25年以内であるか、または新耐震基準に適合することが証明されたものであるか、もしくは既存住宅売買瑕疵担保責任保険に加入していること
5.取得する敷地は、その面積が500m2以下であること

譲渡損が出た場合

譲渡損が出た場合とは、譲渡所得がマイナスとなるケースのことを指します。
譲渡所得 = 譲渡価額 - 取得費 - 譲渡費用 < ゼロ
譲渡所得がマイナスの場合、そもそも売却による所得税等は発生しませんが、特例を使うことによって、給与所得等の他の所得で支払っていた所得税等の還付を受けることができます。

居住用財産の買換えに係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

この特例は、譲渡した年の1月1日において所有期間が5年超の居住用財産を譲渡して、譲渡損失が発生した場合、源泉徴収税額が戻ってくる特例です。
譲渡した年に発生した損失を翌年以後3年間にわたり、他の給与所得等と「損益通算」することができます。損益通算とはプラスの給与所得にマイナスの譲渡所得を合算し、全体の所得を下げる手続きのことです。
給与所得から譲渡所得の損失分がマイナスされることで、全体の所得が下がります。所得が下がることで、給与所得を前提に天引きされていた所得税が払い過ぎていることになり、払い過ぎた分を取り戻して還付を受けることができます。
この特例を受けるためには、まず買い替えを行うことが前提となっています。
特例の適用を受けるために、譲渡資産および買換え資産は以下の要件を満たす必要があります。

住宅ローン控除との併用

また、本特例は買換えを前提としているため、新たに購入するマイホームで住宅ローンを利用する方も多いです。
住宅ローンを利用すると、住宅ローン控除の適用を受けることができます。住宅ローン控除は所得税から所定の額が控除される制度です。
住宅ローン控除も所得税を節税してくれる特例ですが、この「買換えの損益通算及び繰越控除」特例を適用しても、住宅ローン控除を併用して利用することができます。

居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

居住用財産に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例は、前節で説明した特例とほぼ同じですが、買換えを要件としていない点が大きく異なります。
この特例も、譲渡損失のうち、住宅借入金等の金額からその譲渡資産の譲渡価額を控除した残額を限度として、他の所得と損益通算及び3年間繰越控除ができます。この特例を適用するための譲渡資産の要件としては、以下の通りとなります。

譲渡資産の定義
平成31年12月31日までの間に譲渡される自己の居住の用に供する家屋またはその敷地で、その譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超えるもののうち、次の1から4のいずれかに該当するものであること
1.現に自分が住んでいる住宅
2.以前に自分が住んでいた住宅で、自分が住まなくなった日から3年後の12月31日までの間に譲渡されるもの
3.1や2の住宅及びその敷地
4.災害によって滅失した1の住宅の敷地で、その住宅が滅失しなかったならば、その年の1月1日における所有期間  が5年を超えている住宅の敷地ただし、その災害があった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡されるものに限る。
5.その個人がその譲渡にかかる契約を締結した日の前日においてその譲渡資産に係る一定の住宅借入金等の金額を有すること
6.繰越控除する各年分の合計所得金額が3,000万円以下であること 譲渡先が、その個人の配偶者その他特別の関係がある者ではないこと
しかし、この特例では、繰越控除できる限度額が、買換えの特例の場合と異なります。繰越控除等限度額は、以下の式で計算される額になります。

繰越控除限度額の算出方法
繰越控除等限度額 = 住宅ローン残高 - 譲渡価額
尚、「3.居住用財産を売却したときの5つの税金特例」で説明した全ての特例を適用するには、確定申告を行うことが必要です。
確定申告は売却した翌年の3月15日まで行う必要があります。通常、確定申告は譲渡所得が発生していなければ、行う必要がありません。しかし、「特例を適用するため」には必須です。確定申告は忘れないようにしましょう。

まとめ

不動産を売却したときは発生する税金の知識をしっかりと身につけて、損のない不動産の売却計画を進めることが重要です。売却時の税金について疑問がある時、お困りの時には矢口渡で15年の実績があるイエステーション矢口店にご相談ください。お客様のお力になれるよう一生懸命努力致します。
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