路線価とは
毎年1月1日を評価時点として、毎年7月1日に発表される価格です。不動産鑑定士など専門家による鑑定評価額、精通者の意見価格などをもとに税務署(国税庁)が決めるもので、地価公示価格の80%程度が目安です。相続税や贈与税にかかわる土地の評価額を出す際に用いられます。土地が面している道路の路線価をもとに、土地の評価額を算出します。 路線価は1㎡当たりの価額ですから、路線価10万円の道路に面している200㎡の土地は、路線価10万円×面積200m㎡=評価額2000万円となります。
時価とは
実際に売買されるときに付けられる価格です。一般の人や自治体などが土地を売ったり買ったりする際の値段です。この価格は、周辺で取引された実際の売買価格をもとに、地価公示価格や都道府県地価調査価格を参考にして、土地の形や周辺環境、将来性などの評価を加味して決められます。なお、売る人、買う人の交渉によって実際の売買価格は変動しますので、周辺での売買価格が必ずしも相場と一致するとは限らないことに注意が必要です。
地価公示価格とは
毎年3月下旬に発表される、国土交通省が公示する毎年1月1日時点での標準地の価格です。一般的な土地の売買の価格を決める際の参考にされます。
都道府県地価調査価格とは
毎年9月後半頃に発表される、都道府県知事が公示する毎年7月1日時点での標準地の価格です。一般的な土地の売買の価格を決める際の参考にされます。
固定資産税評価額
市町村(東京23区の場合は都)が3年ごとに算出する価格です。地価公示価格の70 %程度です。
路線価は、何をするときに必要か
路線価は宅地(建物の敷地として用いている土地のこと)にかかる相続税や贈与税を計算するときに使用します。路線価を使用して宅地を評価する方法を路線価方式と呼び、市街地にある宅地は路線価方式で評価されます。
具体的には宅地に面している道路の路線価を確認し、その「路線価×宅地面積」によって宅地の相続税評価額を計算します。
相続税評価額の計算方法
不動産の「相続税評価額」の概算額は、路線価に土地面積を乗じることで求めることが可能です。
相続税評価額(概算)=路線価×土地の面積
ただし、実際の相続税評価額は土地の形状や接する道路の数などによって様々な補正が必要です。たとえば「奥行価格補正」や「側方路線影響加算」と呼ばれる増減価修正を行います。土地の評価額は金額が大きく、計算を誤ると相続税の計算が大きく狂ってしまう恐れがあります。正確な相続税評価額を算出するためには、相続税申告の実績が豊富な税理士に相談することがお勧めです。
相続税路線価と固定資産税路線価との違い
路線価には「固定資産税路線価」も存在します。同じ「路線価」との言葉が含まれますが、両者は違います。
路線価(相続税路線価)は、相続税の算出根拠となる相続税評価額を求めるために用います。一方で、固定資産税路線価は、固定資産税や都市計画税、登録免許税、不動産取得税の算出根拠となる固定資産税評価額を求めるために用います。
また、相続税路線価は毎年評価されるため、価格が毎年更新されます。固定資産税路線価は3年に1度しか評価替えが行われないため、価格は3年ごとに更新されることになります。
なお、土地の所有者は、毎年送られてくる固定資産税納税通知書に正確な固定資産税評価額が記載されているため、固定資産税路線価を調べる機会はほとんどないと思われます。
一方で、これから土地を取得予定の人は、固定資産税評価額がわからないことから、固定資産税路線価を利用して固定資産税評価額を推測することになります。
固定資産税評価額は、概算額は固定資産税路線価に土地面積を乗じることで求めることができます。あくまでも概算額ですので、最終的には購入前に売主に正確な固定資産税評価額を確認することがポイントです。
実勢価格とは
実勢価格とは、土地の不動産売買の時に実際に取引される価格のことです。販売開始時点の売り出し価格ではなく、実際に取引が終了した時点での価格をいいます。
実勢価格には決まった価格はなく、当事者間で話し合いの結果で決まります。
路線価や公示地価をもとに実勢価格の参考値を計算することは可能ですが、あくまで参考値でしかありません。なぜならば、実際に土地を売買する時には、土地の形や売買条件など、当事者同士のさまざまな事情によって、相場と離れた価格で決まることが多いからです。買い手がなかなか見つからなければ実勢価格は評価額よりも下がりますし、逆に需要があれば実勢価格は上がります。
路線価から実勢価格の目安を計算する場合の注意点
路線価には土地ごとの諸条件が全く加味されていない
路線価はあくまで、その道路に面した土地の価格を一律で決めたものです。ここには、その土地ごとの特徴や事情などが全く加味されていません。
例えば同じ路線価、同じ面積、同じ形(同じ幅・奥行)の土地があった場合、評価額を算出すると同額になります。しかし本来は、土地の方角や周辺環境などにより土地の人気度は変わるため、これらを考慮して土地の価格を求める必要があります。
路線価から算出した価格で売却を進めるのは難しい
路線価を使って求めた土地の価格はあくまで参考値にすぎず、実際いくらで売買されるかは土地の個別の特徴によって異なります。
そのため、路線価から算出した価格を売り出し価格として設定するのは危険です。売り出し価格を誤ってしまうと、本来ならもう少し高く売れるはずだった土地を安価で売る羽目になったり、逆に高く設定しすぎてなかなか買い手が現れなかったりということが発生します。
売却を進める場合の理想の流れは、路線価などから算出した価格で相場を自分で把握しつつ、個別の土地の価値を判定してもらうために不動産査定を行うことです。
地価回復鮮明、25都道府県で上昇 オフィス回帰けん引
新型コロナウイルス禍からの経済再開で地価回復の勢いが強まっている。2023年1月1日時点の路線価は25都道府県で平均値が上がった。在宅勤務からのオフィス回帰や新しい働き方に対応する職場の整備、訪日外国人(インバウンド)増加が地価を押し上げた。
路線価は主要道路に面した土地1平方メートルあたりの標準価格で、相続税や贈与税の算定基準となる。
全国平均は前年比1.5%の上昇で、伸び率は1ポイント拡大した。前年は下落した岩手県、茨城県、兵庫県など5県がプラスに転じ、全体の半数以上の25都道府県で平均値が上がった。
新型コロナ禍からの回復は鮮明で、コロナ前の20年1月時点の上昇率1.6%にほぼ並んだ。人口流入の多い三大都市圏の上昇率は、東京都3.2%、大阪府1.4%、愛知県2.6%だった。都市部の地価底上げをけん引するのがオフィス需要だ。
上昇率が6.8%で全国トップだった北海道は、札幌市中心部のオフィス街が活気づく。オフィスビル仲介大手の三鬼商事(東京・中央)によると、札幌市のビジネス地区の22年の空室率は2%台で満室に近い状態が続く。
22年の千代田区など東京都心5区のオフィス賃貸の成約面積は75万坪ほどでコロナ前の水準に回復しつつある。賃料は下がっているものの下落率は鈍化している。
三井住友トラスト基礎研究所の坂本雅昭・投資調査部門長は「東京都心5区では職場のグレードアップや立地改善のためのオフィス移転が増えている」と話す。
コロナ下の働き方の変化も背景にある。日本生産性本部の調査では、働き手のテレワーク実施率は23年1月に16.8%となり、20年5月の31.5%から低下した。出社が増える半面、在宅勤務と組み合わせる働き方が定着しつつあり、企業は新たな職場づくりを進めている。
都心はマンション需要も強い。不動産経済研究所によると5月の首都圏の新築マンションの1戸あたりの平均販売価格は8068万円で、前年同月比で32.5%上がった。東京では富裕層を狙った1億円以上の高額物件も目立ち、地価にも波及している。
旅行需要の回復も追い風となっている。22年10月には全国旅行支援が再開されたほか、コロナ対策の水際措置も緩和された。
日本政府観光局(JNTO)によると22年通年の訪日客数は約383万人で前年の約16倍に達した。19年比では1割あまりにとどまるが、インバウンドが増えれば、ホテルや商業施設の投資にもつながる。
三井住友トラスト基礎研究所の調査では、ホテルや旅館など宿泊施設の22年の新規着工数は814棟で前年の1.6倍に急増した。
【2023.7.3日本経済新聞より抜粋】
まとめ
路線価は宅地にかかる相続税や贈与税を計算するときや土地を売却する際の参考値として使用することがわかりました。また新型コロナウイルス禍からの経済再開で地価回復の勢いが強まっており、各地の路線価は上昇傾向にあります。
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