新築戸建の太陽光パネル設置義務化の詳細と課題は?

03-3750-8441

【営業時間】10:00~17:00 【定休日】原則年中無休

最近の投稿

カテゴリ

アーカイブ

2022年12月20日

新築戸建の太陽光パネル設置義務化の詳細と課題は?

12月15日、東京都議会で「戸建て住宅を含む新築建物に太陽光パネルの設置を義務づける改正環境確保条例」が可決されました。
これによって、2025年度から大手住宅メーカーなどが義務を負うことになります。

これまでも、京都市や群馬県で比較的大規模な建物に太陽光パネルの設置を義務付ける例はありましたが、戸建て住宅に対する義務化は全国で初めてです。

しかし、太陽光パネルの設置が義務化されると私たちへの負担が心配ですよね?
その辺はどうなるのでしょうか?

なぜ太陽光パネルの設置が義務付けられるようになったの?

近年、気候危機が一層加速しており、深刻な問題とされています。
そのような背景から、2050年CO₂排出実質ゼロという世界共通のゴールに向けて、2030年までに温暖化ガス排出量を半減させる「カーボンハーフ」という目標が掲げられました。

それに伴って、都は事業者への支援などを加速する運びとなりました。

太陽光パネルの設置が義務化される範囲は?

都の義務化の対象は主に「都内に供給する年間の延べ床面積が2万㎡以上の住宅会社」です。
50社程度が対象になるとみられ、日照条件などを考慮した上で事業者ごとにノルマを定めて、達成を求めることになります。

ちなみに2021年度の注文住宅における平均の延床面積の首都圏平均は123.8㎡なので、年間に約160軒以上の住宅を建てている事業者といったところでしょうか。

太陽光パネルの設置に対する住宅会社の現状は?

住宅会社の中にはすでに、環境性能を高めるために太陽光パネルの設置を基本としているところもありますが、設置実績に乏しい会社も多いのが現状です。
そのため、太陽光パネルを設置した住宅を新たに売り出していくためには、パネルの調達ルートの確保や施工技術の習得、販売手法の構築などが必要になってきます。

太陽光パネルの設置に対する都が謳うメリットは?

都は15日に成立した補正予算に300億円規模の事業費を盛り込み、こうした事業者に対する支援策として充てるとこにしました。
具体例な施策の柱として、住宅の商品開発に必要な費用に対する1億円を上限とした助成金が挙げられていて、都の担当者は「環境性能の高い住宅のラインアップが増えれば都民も選びやすくなる」と消費者側のメリットも強調しています。

さらに都の試算では、一般住宅に4kwのパネルを設置する場合の初期費用が98万円程度とされていて、月々7,800円分の節電効果や売電収入があると言われています。
都の補助制度を使えば6年程度で回収できる見込みとなっています。

そのため、パネルで発電した電力を家庭用に変換するパワーコンディショナーの交換費用23万円を含めても、30年間では「最大119万円のメリットが得られる」という試算がなされています。

太陽光パネルの設置の懸念点は?

しかし、太陽光設備の設置や維持管理にかかる費用が懸念の1つとして挙げられます。

ここ最近の物価高の影響もあり家計は圧迫されていて、住宅購入をする際の価格の上昇は無視できません。
さらに建売住宅を取り扱う都内のハウスメーカーは「パネルを設置できる屋根の面積が小さい場合は特に太陽光発電のメリットは評価されにくい」と指摘しています。

実際、屋根の面積の他にも向きや角度が少しずれるだけで発電量のロスにつながるので、建物の条件によっては必ずしも都の試算があてになるとは限りません。

太陽光パネルの設置に対する都の施策は?

現時点で都は購入者の負担軽減が必要と判断し、パネルのリースなどで初期費用をゼロにする事業者に対して、新たな助成制度を設ける方針です。
パネル利用料の減額を通じて、住宅購入者の負担感を和らげることを狙いとしています。

都議会での条例改正案の採決では、最大会派の自民党が「都民の間に理解が浸透し、納得してもらえている状況にない」などとして反対しました。
実際、5月からの1カ月間に都が実施したパブリックコメントでは、賛成意見が56%と過半数を占めた一方で、反対意見も41%に達しています。

国内では前例がないので、私たち都民や事業者への丁寧な説明がほしいところですよね。

その点に対して都は、新制度の仕組みや太陽光のメリットや支援策などの情報をワンストップで提供する相談窓口を年明けにも設置する方針を示しています。

とはいえ、大量廃棄が見込まれるパネルをリサイクルする仕組みをどう構築するかなど、解決すべき課題はまだまだあります。

まとめ

いよいよ太陽光パネルの設置義務化が現実味を帯びてきましたね。
あと2年ちょっとで施策は始まりますが、今後の展望と私たちへの情報発信に注視していきたいところです。
ページの先頭へ