22年の一番人気物件は、土地付き建物でした。
売却基準価額1721万円を4343万円で法人が落札しています。
ただ、落札1物件当たりの入札本数は22年下期に13.10本、上期に13.71本でしたが、21年は前期・下期とも14本台で推移していました。
入札件数が若干とはいえ減少している背景について、山田代表取締役は、「落札価格が高いのであきらめてしまっている。落札物件数のトップ10企業などは、数をこなすことで内装などの工事単価を下げてリノベーションを有利に進めている。市況が良いため在庫化していないので落札しているのだろう」と推察しています。
東京地裁の差し押さえ件数(配当要求終期の公告件数)は1000件(前年比13.71%減)と大幅な減少となった。そもそも差し押さえ件数の約4割は任売(任意売却)で消えていく。昨年11月の差し押さえ件数は62件となり、コロナ初年の20年に裁判所が一時機能を停止していたときと同じ水準まで落ち込みました。 山田代表取締役は、「今年7月ごろからゼロゼロ融資の元本返済が本格化して破産に追い込まれてもその数字が競売に反映されるのは数カ月後。このタイムラグを考慮すると競売件数は今秋まで低迷期が続き、年間では22年と同程度か場合によっては少ない」と見通します。徐々に倒産件数が増える傾向にあるものの、想定より倒産件数が抑えられていることが大きいです。
帝国データバンクの調査によれば、昨年11月末時点で倒産してもおかしくない「ゾンビ企業」は約18.8万社に上り、ゾンビ企業率は約13%と全企業の1割強に相当します。
前年度から一段と増加しました。
その中身は飲食・サービス業などが中心だが、こうした業種は差し押さえるような物件を保有していないことが多いです。
リーマン・ショックでは銀行業界と不動産業界を直撃し、新興不動産会社が相次ぎ消滅しました。当時の不動産競売市場は、破綻した不動産事業者の不良在庫が一気に噴き出してきたが、コロナ・ショックでは金融緩和も相まって不動産会社の倒産は見られないです。
銀行が差し押さえるような物件がなく任売市場も縮んでいます。
今は不良債権化しても融資残よりも物件が高く売れてしまうため債権者が泣きをみるような状況にはないです。
もっとも、競売物件が増加に向かうシグナルがないわけではないです。
金利が上昇していけば競売件数は増える方向に向かいます。
もう一つの予兆は国税・都税の滞納発生件数が増えていることです。
税金滞納は公売物件数の根拠になっているものだが、国税の滞納件数は21年に131万件を超えて新型コロナ禍前の19年から3割も増加しています。
公売件数が増加に転じるのと歩調を合わせるように民間債権市場も潮目を迎える可能性もあります。